2015年12月22日火曜日

公正証書遺言書があってよかった(足原 英二)

つい最近のことです。相続についての相談を受けました。
早速、その方の自宅を訪問しお話を聞いたところ、ご夫婦で過去の経緯などを含めていろいろお話をされました。内容は、千葉県の或る施設に入居している叔母が少し前に亡くなった。法定相続人としては私(相談者)と甥と姪の三人がいる。遺言書は公正証書となっており全財産を私が相続するとなっています。私は、甥と姪に対して何らかの金銭を渡したいと考えているがどんなものなのでしょうかとのことでした。

公正証書による遺言書があり、その内容はすべての財産を相談者に相続させるとあり、遺言執行人として相談者が指名されていることを確認しました。
相談者は金銭のこと、亡くなったことの連絡のことなど大変迷っておられました。そして、甥と姪とは永年、音信がないが最低限叔母が亡くなったことだけでも知らせたいとのことでした。

私は、相談者の善意には敬意を表しますが、却って金銭を渡すことによりトラブルの原因にもなる可能性を指摘しました。取りあえずは死亡のみの連絡に留め、相手の反応を待ってから対応されることをお勧めしますと話しました。
ご夫婦とも安心したように了解されました。

このケースは、公正証書での遺言書があり、遺言執行者(相談者)も明記されており、甥と姪には遺留分減殺請求権もないので、まったく心配の必要のないものでした。
NPO法人流山高齢者安心ネットの活動に、遺言書を作ること、しかも公正証書で、としております。この相談者の場合は安心して簡単に、楽に財産移転ができます。このケースの場合と違って遺言書のないケースの方が多く、もっと、啓蒙の必要を感じました。

{関係図}



亡くなった叔母は(C女)及びA女には子がいない。B男とD女も既に亡くなっている。したがって法定相続人は相談者と甥と姪の3人であり、甥と姪は代襲相続の権利がある。